好き嫌いで人事
松井 道夫
松井証券社長の人材活用術&組織論という感じでしょうか。でも全く難しい言葉を使わずに、心にがつんと来る言葉を並べてきます。
松井社長のとにかく恐れているのは「大企業病」。堕ちていく大企業のように、企業内で出世競争であけくれ、責任回避に逃げにまわり、顧客に対して正面から向かない。こうなっていくと会社はダメになるしかない。
松井証券も、インターネット証券会社としてどんどん発展していく過程にその兆候があったらしい。そこで、一期に支店を全て閉めて、一つの事務所に移転してしまったと。その時にはやはり会社内のあつれきがあったようだが、それをこなして次に進むのが社長の仕事と言い切るのがかっこいい。
また企業同士で暗黙の了解といった事も多くある。そこを潰していくのもやはり松井証券の手法と言うところかなあ。そういえば、貸株の制度も6ケ月というのがどこの会社でもやっていた。その制度も松井証券では破ってしまった。
今までの会社の常識すらも疑う事と言うのはやはり必要。出来る事から進めると言うより、計画的にドカンとやる、その手法はなかなか学んで出来る事ではない。
松井証券と言う会社はデジタルをうまく使っている会社と言う印象があったが、それ以上にアナログ感覚というか、バランス感覚が非情に優れている気がしている。松井社長も本の中で、デジタルの時代だからこそ、アナログの力がデジタルを制御していくとかいている。
人と人との事を忘れたら、そこには何も残らない。
やはり経営の基本はそこにあるのでしょうね。