文章をダメにする三つの条件
宮部 修
文章の学習の仕方って数あるんですよね。
でも、個性の強い人の文章をそのままマネしようとしても、けして、うまくいかない気がしています。というのは、「文は人なり」 と言う言葉が示す通り、その人らしさが出てくるので、そのまま、人の文章を持ってきたのでは、癖や勘所が違ってきてしまう。
それじゃあ、何を習得すればいいかといえば、『これだけはやっちゃダメ』 というのを、導き出したこの本は、きっと良いんじゃない。なんて思ったので手に取って見た。
この本の基本は、メモによる構成の組立。それが嫌ならこんな感じ。
「とにかく毎日、机の前に座り、眼に見えた事、耳に聞こえた事、心に浮かんだ事を一字一句正確にしかも単純に書く。素直に、単純にそのまま書くこと。正確なスケッチをした後で、それら具象的な事柄を抽象化して、ある結果を抽きだすこと」
(宇野千代の随筆『或とき突然』より)
この本に掲載されていた3つの禁止事項は、こんな感じ。
- 文章の意図がつかめない事実や印象の羅列
- 読み手が退屈する理屈攻め
- 読み手の興味の引かない一般論
まず、最初の禁止事項は、何でも時系列に並べるな!ってこと。いらないものは省く。ポイントを抽出する。そうすることでただの羅列から離れることが出来る。こうすることで、読み手の退屈間からも避けられる。
そして、読み手の一番嫌な一般論。「空が青い」とか、「親孝行は偉い」なんてことを一生懸命言われても興味がないってわけだ。それでは、具体的にどうなるか、そこにドラマがあるのか。そこを書かなきゃつまんないよと。
なるほどねえ。たしかに「よくわからんこと書くより、ポイントを切り抜いて見せろ」と言うのには、納得。ちなみに、おいらのブログが文章短いのは、単純に楽したいだけ(笑) 。 でも、やたら長すぎるのも疲れるけどねえ。(例外はいっぱいあるけど)
なるほどと思ったのは、「ヤング」とか「超きもい」なんて言葉を文章にいれるとどうなるか。作者は、「時代が経つとノスタルジーが生まれる」とも言えるが、「文章が腐る」とも書いてある。
「ナウなヤングにモテモテ」といわれても、笑いのネタにしかならないですからねえ。流行に乗るというのは、案外愚かな行為なのかもしれないねえ。