アスベスト禍?国家的不作為のツケ
粟野 仁雄
一時期、大きく話題になったが、ほかに沢山の問題が出てきてしまって、影に隠れてしまったが、アスベストの問題は、大きな問題。
アスベストと聞いて、「なんだろう」という人もいるかもしれない。一番みじかな所だと、小学校の時に使った理科の実験でアルコールランプをつけて燃やすときに使った不燃の網のやつ。あの白い部分がアスベストと言うことらしい。石綿[G]と読んだほうがよいだろう。
熱に強く断熱性が良い、電気も通さないし。薬にも強いし、防音性にも優れていた。とても有効な素材なのだが、粉になったアスベストを肺に入れると問題が出る。中皮腫[G]という肺ガンのような病気になってしまう。また、直ぐに病気になるならわかるが、潜伏期間が20〜50年という物だから結果がわからない。
また感染源としてはわかっているのだが、許容量がわかりずらい。例えば、アスベストに関わる仕事をしていた人ならわかるのだが、アスベストのついた服を洗濯した奥さんが病気になったり、アスベストを扱った工場の直ぐそばにすんでいる人にかかったり。
日本において、これだけ問題になっているから、既に全面禁止なのかと思ったら、そんなことない。2004年に決まったのは「使用原則禁止」ということだ。あくまで原則禁止。アスベスト0を目指しても、実際には、「ジョイントシート、シール材」「耐熱・電気絶縁板」「石綿綿・石綿布」としては使っても良いことになっている。
全面使用禁止は08年の予定だそうだ。すでにヨーロッパでは全面使用禁止になっているけどね。
日本の対応の遅れは、当然無知もあるが、経済への優位性をおいてしまったために労働組合側か反対したと言う誰のための団体なのか、よくわからないことをしている。そんな、なんだかなあ、という情けない話も。ある意味アスベスト公害と言うのは人災でもある。
アスベストは、もう関係ないかと思うかもしれないが、例えばビルを壊すときに大量に舞っているらしい。神戸の震災の時にかなりのアスベストが舞ったことも記述されている。この事実を知らないと、とんでもないことになりますよ。
怖い話が詰まっている本ではあるが、なんともやりきれない本でもあるなあ。