漫画家誕生 169人の漫画道

漫画家誕生 169人の漫画道
中野渡 淳一
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 長野県出身の、私としては、非常に心待ちにしていた一冊。信濃毎日新聞[G]に掲載していていた漫画家が、漫画家として誕生したまでをインタビューした記事「マンガ家の世界」をまとめた一冊。

 漫画家って、考えてみると非常に難しい仕事です。作家性が良くても、絵が描けなければ成る事はできず。また、絵が描けてもお話が作れなくては成る事ができない。また、なれたとしても、掲載できる紙面の数は限られているので、実際に漫画誌に載るのも一苦労。
 掲載できたとしても、最初の原稿料はページ当たり5000円がいいところ。漫画家として本当に収入が得られるようになるのは、コミックとして刊行された時に初めて、印税として、まともな収入として成り立つ。ココまで来るのにどれだけ大変な事か。たとえ漫画誌に掲載されたとしても、コミックまで出せる人は、数少ない。そんな、数少ない人たちのインタビューだから読みごたえが有るという事か。

 本としては見開き2ページで一人のインタビュー。出てくる人は、大御所から、あまり知らない人まで。大御所だと、水木しげる矢口高雄といったところも。
 個人的に好きな人を言えば島本和彦高橋しん江口 寿史唐沢 なをきといった具合に。よくまあ、こんな有名な人、アポイントとれたなあと。少女マンガの人も多く載っているが、ごめんなさい。詳しくないので…。

 ともかく、普段聞けないような週刊で描いている人のインタビューも見る事ができる。でも、後書きで著者が書いていたように
 「記事に書く事ができたのはインタビューのほんの一部(その気になれば四百字詰め原稿用紙50枚はかける)」とのこと。個人的に知っている漫画家さんからすれば物足りないのかもしれない。だけど、この本はあくまで「漫画家」という本を俯瞰して見る本。これだけのインタビューが有ると、何かを感じ取れるのでは。

 読んでいくと、「本当に好きだから」なる人も多い。だけど、絵が好きで描いてきて、『自分に残った飯を食べる手段』としてなった人も多くいたようだ。
 そう言う意味では、漫画家って選ばれた人のなる仕事だとも思う。
 絵が描けなければ描く事はできないし、ハードな仕事だから好きでなければとても続けられる仕事ではないから。

 ともかくこの本では、漫画家さんの裏側を知る事ができる。知っている人間からすれば、そのインタビューからはにかんだ表情がうかがえる(笑) 写真も載っているしね。
 そんな意味で、マンが好きにはたまらない一冊。
 漫画家か志望の方も読む価値きっと有るかと。


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