文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一
過去に数多くの文明が崩壊している。
例えば、この本では、イースター島やピトケアン島、ヘンダーソン島といった南の島々。南洋の島と聞くと、豊かな海にヤシの実がそろって豊饒な土地と感じてしまうかもしれない。しかし、この本に掲載されている、崩壊した社会では全く逆のことを語っていた。
南の国だからと言って、豊饒な自然があるとは言えない。そこには、木や森があるから生まれるサンゴ礁だったり、魚達がある。
今回紹介された島々では木の乱伐や間違った開発が行われた為に、崩壊をしてしまう。豪族やその当時の支配層による一時のエゴによって、大きな建物を作った為に木材の濫伐を進めてしまう。だが、すぐに木が生えてくるかと言えば、そうではない。
そういった開発の為に、栄養が流れてしまう。その土地が豊かでないと新たな植物が育ってこない。その為、はげ山が増えてしまい食料が無くなってしまった。
最後には、食料が取れなくなった為に人肉食に陥ってしまったと言うことがあったらしい。実際に文化研究や遺跡を調べると人肉食の形跡が認められたとの事だ。崩壊した分明でなくても、土地が豊かでない、南国や別の地域の文化を調べてみると、やはり死んでしまった人の肉を食したり骨髄をすすった跡がわかったと言う事が書かれている。
自然崩壊の末には人間はどうなってしまうのか、文明が無くなるだけなでなく、最後には人間の尊厳すらなくなってしまう。木や森の保護はそう言った事も含まれていると言う点は、自分にとって見逃せない発見であった。
グリーンランド[G]の事例もまた興味深い。バイキングがヨーロッパの文化を持って乗り込んだが結局は文明が崩壊してしまった。他の土地で成功したからと言ってうまくいくとは限らないと言う訳だ。結局グリーンランドでしっかり生き残ったのは、彼らがさげすんで見ていた、その土地に古くから住むイヌイットだったと言う事だ。
やはり、歴史を守っていきた人たちは、尊敬すべき対象であると言う訳だ。
この本は驚愕の事実も多い。なぜ、自然を守らなければいけないか。自然を守らない末にはどんな生活が待っているか。そう言った事は歴史が語っている。それもすさまじい歴史だった事に改めて驚かされた。
続きも気になるので、読んでいます。